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バオバブの著書・訳書

2018年3月18日 (日)

『チトくんとにぎやかないちば』

Photo_3 『チトくんとにぎやかないちば』
が出ました

アティヌーケ文
アンジェラ・ブルックスバンク絵
さくまゆみこ訳
徳間書店
原書:BABY GOES TO MARKET by Atinuke & Angela rooks bank, 2017

西アフリカの市場を舞台にした楽しい絵本です。チトくんは、お母さんにおんぶされて市場に出かけていきます。チトがきょろきょろしていると、市場のバナナ売りのアデさんが小さなバナナを6本くれます。チトはバナナを1本食べると、残りはお母さんが頭にのせているかごに、ぽいっと入れてしまいます。フェミさんからオレンジを5個もらうと、1個だけちゅうちゅうして、残りはお母さんのかごへ。こうして、お母さんのカゴの中に、揚げ菓子や、焼きトウモロコシや、ココナッツと、いろいろなものが入っていきます。

お母さんは値段の交渉に夢中で、ちっとも気づいていなかったのですが、やがてかごをおろしてみてびっくり! そして、最後のページがまたおもしろい。

文章を書いたアティヌーケはナイジェリア生まれの児童文学作家。絵を描いたブルックスバンクも西アフリカで育ちました。二人が大好きな西アフリカの市場のようすが、生き生きと伝わってきます。私もナイジェリアではいくつかの市場を訪ねたことがありますが、この絵本からは活気にあふれたざわめきまで聞こえてくるようです。
(編集:高尾健士さん 装丁:森枝雄司さん)

『わたしのおひっこし』

Photo 『わたしのおひっこし』
が出ました

イブ・バンティング文

ローレン・カスティーヨ絵
さくまゆみこ訳
光村教育図書 2017.12
原著:YARD SALE by Eve Bunting & Lauren Castillo, 2015


イギリスの絵本です。コーリーという女の子の家の庭に、家具や本や電気製品など、いろいろなものが置いてあります。これまでコーリーの家族が使っていたものをずらっと並べて、セールをしているのです。一家が、何らかの経済的な理由があって、一軒家から小さなアパートへ引っ越すことになったからです。

なじみ親しんできたものや友だちとの別れは悲しいし、さみしい。けど、セールが終わったときには、愛し合っている家族の結びつきはこれまで以上に強くなったようです。

途中で、コーリーの愛読書が『おやすみなさい、おつきさま』だということもわかったりして、味わい深い作品です。
(装丁:城所潤さん+岡本三恵さん 編集:相馬徹さん)

2017年12月15日 (金)

『あさがくるまえに』

As 『あさがくるまえに』
が出ました

ジョイス・シドマン/文
ベス・クロムス/絵
さくまゆみこ/訳
岩波書店 2017.12.13
原書:BEFORE MORNING, Joyce Sidman & Beth Krommes, 2016
編集:須藤建さん

これも絵が物語る絵本です。背景は冬の街、テーマは、願いと言葉の力。

私は、ベス・クロムスの絵が大好きで、いつか翻訳を手掛けられたらいいな、と思っていたのですが、今回それが実現しました。

描かれているのは、子どもの素朴な願いですが、この絵本をきっかけに、言葉の力、願いの言葉について思いをめぐらせてもらえるとうれしいです。

飛行機の操縦士をしているお母さん、疲れたお母さんのためにお茶のしたくをするお父さん、なんていう家族がそれとなく描かれているのもいいですよ。家にはネコも犬もいます。

とてもいい紙を使って印刷してくださったので、原書よりテカらなくて、おちついた感じに仕上がっています。

 

『空の王さま』

Photo_5

『空の王さま』
が出ました

ニコラ・デイビス/文
ローラ・カーリン/絵
さくまゆみこ/訳
BL出版 2017.11.01
原書:KING OF THE SKY by Nicola Davies & Laura Carlin, 2017
編集:江口和子さん 装丁:安東由紀さん



この絵本は、見知らぬ国にやってきて、知り合いもなく、言葉もわからず、自分をよそ者だと感じている少年が主人公です。この少年がとなりにすむ足の不自由なおじいさんと知り合いになり、おじいさんが飼っているレース用のハトに自分の気持ちを託します。デイビスの献辞も「新たな土地で居場所を見つけなくてはならないすべての子どもたちに」となっています。

ローラ・カーリンの絵がすばらしい! 先日絵本の会で、ひとりの画家が今年度のベスト絵本に挙げてくださり、画家の目から見るとどこがすごいかを話してくださいました。色の関連などは、その話を伺って私もなるほどと思いました。

本当の絵本とは、文が語っていないことを絵が語っている作品だと、私はシュルヴィッツの絵本論から学びましたが、この絵本はまさにそれです。絵が、文章にはない多くのことを語っているので、文字だけを追っていたのではもったいない。少年の孤独、少年のとまどい、少年の疑い、そして少年の喜びを絵からも感じとってください。

『ごちそうの木』

Photo_3 『ごちそうの木〜タンザニアのむかしばなし』
が出ました

ジョン・キラカ/作
さくまゆみこ/訳
西村書店 2017.08.03
編集:植村志保理さん
原書:DER WUNDERBARE BAUM by John Kilaka, 2009

2017年夏のキラカさんの来日に合わせて出た本です。キラカさんがご自分で聞き取った昔話を絵本にしています。

キラカさんの最初の絵本『チンパンジーとさかなどろぼう』には、伝統的な衣装を着た動物たちが登場しますが、この絵本に登場する動物たちは、現代風の衣装を着ています。「なぜ?」とたずねてみると、今はタンザニアの田舎でも伝統的な衣装を着る人が少なくなり、子どもたちに絵本を見せると、「どうしてこんな変わった服を着ているの?」と言われるからだと、おっしゃっていました。

キラカさんは来日の際、この絵本のストーリーテリングをあちこちでしてくださいました。ご覧になったみなさんは、アフリカのストーリーテリングが パフォーマンスだということを目の当たりにして、その楽しさを充分味わうことができたのではないかと思います。

この昔話の基本形はアフリカ各地にあり、たとえば光村教育図書から出た『ふしぎなボジャビのき』(ダイアン・ホフマイアー文 ピート・フローブラー絵 さくま訳)も、とても似た昔話を絵本にしたものです。

『宇宙の生命〜青い星の秘密』

Photo 『宇宙の生命〜青い星の秘密』
(ホーキング博士のスペース・アドベンチャーⅡ-2)
が出ました

ルーシー&スティーヴン・ホーキング/作
さくまゆみこ/訳
日本語版監修:佐藤勝彦先生

装画・挿画:牧野千穂さん
編集:板谷ひさ子さん
装丁:坂川栄治+鳴田小夜子さん

岩崎書店 2017.07.31
原書:GEORGE AND THE BLUE MOON by Lucy Hawking, 2016


この巻では、アニーとジョージが火星に行く宇宙飛行士を養成するための訓練を受けることになります。でも、その裏にはとんでもない事実が! 

ハラハラ、ドキドキのそうした物語の合間合間で本書は、地球の水は、どこから来たの? 火星やエウロパ(木星の衛星)には生命体がいるの? 火星で生活するのはどんな感じ? 火山って何? 自動運転車は間もなく実現する? 化学元素って? 周期表はどうやってできたの? 人工冬眠は何の役に立つの? 量子トランスポーテーションって何? などという疑問に答えてくれます。

無重力飛行やVRも登場します。このシリーズには最新の科学知識が出てくるので、翻訳は大変です。でも、私が素人だからこそ、監修の先生方に疑問を何度もぶつけて、自分なりに納得したところで訳しています。

2017年4月22日 (土)

『くらやみのなかのゆめ』

『くらやみのなかのゆめ』Photo_4
が出ました

クリス・ハドフィールド 文
ザ・ファン・ブラザーズ 絵
さくまゆみこ 訳
編集:喜入今日子さん
装丁:城所潤さん
小学館 2017.02.20
原題:THE DARKEST DARK by Chris Hadfield & The Fan Brothers, 2016


クリス・ハドフィールドは、カナダ人の宇宙飛行士。子どもの頃、アポロ11号の月面着陸をテレビで見て、宇宙飛行士を志したのでした。ギターを国際宇宙ステーションに持ち込んで、デヴィッド・ボウイの曲を歌ったり、船外作業中にとつぜん目が見えなくなったのに落ち着いて行動したことでも有名な人です。

彼は、小さいころ暗闇が怖くてたまらなかったのですが、やがて暗闇を,力強くて不思議で美しいものだと感じるようになります。「夜のやみは,夢をうみだし、朝の光は、その夢を実現するためにあるのです」とも語っています。

ザ・ファン・ブラザーズは、アメリカ生まれでカナダに暮らしているイラストレーターの兄弟です。日本で紹介されるのは、この作品が初めてだと思います。

暗闇を怖がる子どもたちに手渡してもらいたいと思っています。

『フローレンス・ナイチンゲール』

Photo_2 『フローレンス・ナイチンゲール』
が出ました

デミ 作
さくまゆみこ 訳
装丁:森枝雄司さん
編集:鈴木真紀さん
光村教育図書 2016.12.20
原題:FLORENCE NIGHTINGALE by Demi, 2014

ナイチンゲールの本は日本でもたくさん出ていますが、この作品のキモは、デミが描いているというところ。

私は、ナイチンゲールという人はずっと現場で看護の仕事をしていたのかと思っていましたが、じつは違いました。35歳の時に熱病にかかり、その後は主にベッドで研究したり執筆したりしていたのですね。

ナイチンゲールが状況を改善するまでは、当時の病院は、排泄物があちこちにあったり、ネズミがかけずり回っていたりして、相当不衛生だったようです。デミも、そういう場面を描いているのですが、彼女の絵は汚くならないのですね。

原書は金色が使ってあるのですが、日本語版は金が使えなかったので、森枝さんが、題字に細工をして、かがやいているようにデザインしてくださいました。森枝さんは、いつもすてきな工夫をしてくださいます。

こういう科学・知識の絵本は、文章をただ訳すだけでなく、原書の記述が正しいかどうかも私は調べて確かめます。そうでないと、安心して日本語にすることができないので。

2016年12月18日 (日)

『紅のトキの空』

Photo_3 『紅のトキの空』
が出ました

ジル・ルイス 作
さくまゆみこ 訳
平澤朋子 装画
中嶋香織 装丁
岡本稚歩美 編集
評論社 2016.12
原題:SCARLET IBIS by Gill Lewis, 2014


『ミサゴのくる谷』や『白いイルカの浜辺』でおなじみのジル・ルイスの作品です。ルイスは獣医でもあるので動物の描写が正確だし、困難な状況を抱えた子どもたちに寄り添おうとする気持ちが、この作品にも反映されています。

この作品に象徴的に登場するのは、ショウジョウトキ(スカーレット・アイビス)。トリニダード・トバゴに生息する真っ赤なトキです。そこから名前をつけられたスカーレットは12歳で、褐色の肌(写真でしか知らない父親がトリニダード・トバゴの人だったのです)。精神的な問題を抱えた母親と、発達が遅れている白い肌(父親が違うということですね)の弟との三人暮らし。毎日の生活をなんとか回しているのはスカーレットなのですが、なにせ12歳なのでそれにも限界があります。

スカーレットは母を心配し、弟を守ろうと懸命なのですが、住んでいるアパートが火事になったことから、これまでの暮らしとは違う世界に投げ出されてしまいます。
果たしてスカーレットたちは、自分の居場所を見つけることができるでしょうか?

この作品にも、傷ついた鳥や捨てられた鳥の世話をしているマダム・ポペスクという魅力的なおばあさんが登場します。

今回も平澤朋子さんがすてきな絵をつけてくださいました。

ジル・ルイスは後書きで、主人公スカーレットのような、家族の責任を自分が背負わなくてはいけないと思っている子どもが、英国にはたくさんいると書いています。また、「家」や子どもの居場所について考えて書いた本だとも述べています。


『ウィニー:「プーさん」になったクマ』

Photo_2 『ウィニー:「プーさん」になったクマ』
が出ました。

サリー・M・ウオーカー文
ジョナサン・D・ヴォス絵
さくまゆみこ訳
汐文社 2016.10
WINNIE: THE TRUE STORY OF THE BEAR WHO INSPIRED WINNIE-THE-POOH
by Sally M. Walker, illustrated by Jonathan D. Voss, 2015


『ウィニー:「プーさん」になったクマ』が10月に出ました 。表紙が原作となっているのはちょっと解せないので問い合わせたところ、単なる間違いでした。リライトなどは一切せず、原文に忠実に訳しています。

『クマのプーさん』のぬいぐるみは、ウィニー・ザ・プーという名前ですが、ウィニーという名前がついたいきさつを、この絵本では子どもにわかるように語っています。クリストファー・ロビンは、ロンドン動物園でウィニーという名前のクマに出会い、それが印象に強く残っていたのですね。そしてウィニーは赤ちゃんの時に、鉄道の駅で、カナダ陸軍の獣医だったハリー・コルボーンに引き取られたクマだったのです。どうしてそのクマがカナダからロンドン動物園までたどりついたのか、ウィニーはどんなクマだったのか、という実話に基づいた絵本です。

同じ実話に基づいて、評論社からも『プーさんと であった日』というのが出ています。評論社の絵本の文を書いたのは、コルボーンのひ孫のリンジー・マティックさんで、そちらはコルデコット賞をとっています。

こちらの『ウィニー』は、動物園に来た後のことまで描かれているので、両方見比べてみると、おもしろいかも。

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